広報とキャリアについての母校講演で失敗した話
広報マーケティングAdvent Calendarの22日目担当の佐藤志穂(さとう しほ)です。社内外からはC4(シーフォー)と呼ばれています。調べてみると爆薬とかありますが、爆発しません。由来はただファーストネームの韻を踏んだだけです。
さて。本題です。
最近広報界隈でも「アウトプットの重要性」を耳にする機会が増えました。
今回の広報マーケティング Advent Calendar 2016 - Adventarでも、12/10にアップされた吉田ハルカさんの記事にアプトプット力が足りない!とありますよね。
私も広報という職種であるにも関わらず、この記事の指摘にあるようにあんまり自分のことや広報のことはアウトプットしていないな、と。また、別の機会に自分のSNSの活用方法を学ぶ機会があったのですが、実行できていない。
それであれば、ブログやっちゃぇーー!と思い、半場勢いで
広報マーケティング Advent Calendar 2016 - Adventarに参加したんですが、先日、たまたま母校の山梨県立大学で広報とキャリアについて話をする機会がありましたので、今回はそのアウトプットについてお伝えできればと思います。
山梨に、大学に恩返ししたいーー90分の講義へ挑戦
山梨県立大学は山梨県甲府市にある県立大学で、私はその一期生で入学しました。
当時の一期生は「ないもの尽くし」の大学に不満も持っていたけれど、逆にそれをバネに新しい「大学の伝統を創る」というとおこがましいですが、どんどん新しい仕組みを提案し、自分たちで実行する、めっちゃ個性的な人たちばかりだった気がします。
そんな仲間や教授陣、そして大学のおかげでこの大学に入れたこと、一期生でいられたことは私の糧・財産になっていて、いまの社会人生活に活きまくりなんですが、いつか恩返しがしたいなと思っていた矢先、大学1年生・2年生の学生さん向けに
「佐藤さんの現在の仕事(=広報)とキャリア(就職活動や学生生活)について講義をしてほしい」
という依頼を頂戴し、二つ返事でお受けしました。
90分という長時間、プレゼンしたことなんてなかったのですが、実はこっそり目標としていたこの「恩返し」に張り切っていたんです。
でも。
やってしまった、2つの「失敗」
結論からお伝えします。私はこの講義、学生さんにとって有意義でなかったと思っています。準備も相当したし、こう断言しまうのはとっても悔しいし、学生さんには「失敗の講義なんて聞かせるな」かもしれないのですが、私がこう考える理由は2つあります。
一つは「早口過ぎ」てしまったこと。
そしてもう一つは、「『顧客』に合わせて対話」が出来なかったこと。
学生がついていけない程のスピード
よくあるLT(ライトニングトーク)と同様、自己紹介や最初にこの講義でお伝えしたいことを3つ繰り返し伝えることからプレゼンを始めました。
なにこれ学生さんの視線が怖い!
くぅぅーー!緊張する!!!
この想いが先走ってしまったんですね。
私、緊張すると早口になってしまうのを自負していたので、カンペには「ゆっくり」と大文字で書いていたんですが、それでも早い。
それに輪をかけてIT業界にどっぷりつかってしまっていたため、周りの人との会話も早い環境(他責)。
教授に、
「早くて学生さんがついていけません」
という紙をもらった時にハッとさせられました。 わお、時すでに遅し。
120枚以上あったスライドの80枚以上を約40分間で終えてしまっていました。
「『顧客』に合わせた対話」ができていなかった
広報であれば誰でも一度は「メディアや媒体の立場に立って」取材依頼をする、プレスリリースを書く、ということを言われた経験があると思います。私ももちろん言われたことがあります。想像力を膨らませ、この媒体であればこういったネタであれば興味を持ってもらえそう、など。
ただ、この時、完全に私の講義は私の広報という仕事やキャリア、就職活動、どんな学生生活を送ったかという今回の「顧客」であった学生さんの立場を考えて話さず、自分の話したいことばかりを話してしまいました。
じゃあ、どうすればよかったか
学生のとき、将来のなりたい職業が決まっていた私は珍しい方だったと思います。特に大学1年生、2年生にとって卒業後の自分は想像しづらいもの。学生さんが見えない・見えにくい未来を少しでも可視化、安心できる材料やエピソードを盛り込むことが求められていたんではないかなと思います。
また、個人的見解になりますが、こうすればよかったのかなという振り返りを備忘録兼ねて。
1)プレゼン資料を120枚から30枚程度へ
IT業界のLTの癖(と憧れ)でスライドがポンポン変わるプレゼン資料を準備していました。学生さんのニーズはそこになく、理解を深めることにポイントを絞るべきだった
2)むしろ使わずに自分の体験・エピソード中心にする
ストーリーを言葉にして伝えることは、どんな商品・サービス広報、企業広報にとって必要だと思いますが資料を使わずに目を見ながら、反応を見ながら進めるべきだった
3)そして自分が感じているよりゆっくりと話す
これは言わずもがな。
守るべきは「顧客」、相手の顔を見る、想像する
今回の経験、学生さんには有益とまではいかなかったかもしれませんが、講演においても広報活動と同じことが言えると思いました。相手が講演者にどんな情報を求めてきているのか。その人たちが知りたい情報は何か。
ある人から教わった言葉で、守るべきは顧客で自分じゃないという言葉がこの講演のフィードバックを受けているときに浮かんできました。相手の顔を見ながら、想像しながら、どんな反応か見ながら、そして時には話さないということを選択しながらコミュニケーションすることが大事だな、と。
さいごに
ちなみに、当日はキャリアラインシートを用い、学生さんに自分の人生を振り返ってもらい、自分のモチベーションが上がった「場面」を思い出してもらい、その中から自分のキャリアについて考えてもらいました。私も立ち止まるとこのシートを作り直し、振り返ります。
具体的なワークをすることで自分のことを可視化する時間は提供できたかな、とは思いますが、やはり個人的な悔いと、学生さんへの申し訳ない気持ちでいっぱい。もっとまた次回、もっとレベルアップしての登壇を目標に出来たらと考えています。
最後に。
講義を最後まで聴いてくださった学生の皆さんと、
卒業しても変わらず気をかけてくださり、
そして鋭いフィードバックをもらえる一生恩師と言える教授に感謝!!!